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夏山前半に登ったアルプス初心者向けの山々

夏山シーズンの前半に旅行会社主催の登山ツアーに同行して登った、日本アルプスのなかでも比較的初心者向けと思われる三座をご紹介します。

唐松岳(北アルプス)

八方池に映る不帰嶮
不帰嶮・白馬岳方面をバックにミヤマダイコンソウ

唐松岳(2695m)は北アルプスの後立山連峰に属する山です。山頂から東に延びる八方尾根を登って唐松岳頂上山荘を経由したルートになります。標高1850mの八方池山荘まで八方尾根スキー場のゴンドラとリフトを乗り継いで上がってくることが出来るため、比較的少ない標高差で山頂まで歩くことができます。

山頂からは、北に延びる不帰嶮〜白馬三山、南には五竜岳、西には剱・立山連峰と北アルプス北部の名峰を間近に臨むことが出来ます。

登山道は良く整備されていて、特に序盤の八方池までは観光客も上がってくることから、遊歩道として木道なども整備されとても歩きやすくなっています。一部に蛇紋岩が露出するなど地質の関係もあり、比較的標高が低いところから森林限界を超えていて高山植物の種類も豊富ですし、植生の反転現象(森林限界の中間にダケカンバの森)を見ることが出来ます。

蛇紋岩はとても滑りやすいので転倒などに注意が必要ですが、それ以外に特筆すべき危険箇所はありませんので、ある程度の登山経験と体力があればチャレンジ出来る北アルプスの山です。

朝一番のゴンドラに乗れば日帰りで登ることも出来ますが、帰りのリフトの最終時間に乗り遅れないように気にしながらの山行は焦りを生んでしまうので、出来れば唐松岳頂上山荘に一泊する、余裕をもった計画がお薦めです。とても綺麗な小屋で食事も美味しくて、眼前に広がる素晴らしい景色もゆっくり楽しめますよ。

木曽駒ヶ岳(中央アルプス)

剣ヶ池から千畳敷カール
富士山や南アルプスの峰々

木曽駒ヶ岳(2956m)は、私自身が初めて登ったアルプスの山です。思い出の山ですね。

深田久弥の日本百名山にも選定されている木曽駒ヶ岳は、今回紹介する三座の中で最も登山初心者に適した山といえるでしょう。ロープウェイを使って2612mの千畳敷駅まで一気に標高を上げることが出来るため、山頂までの標高差も約400m程度となっています。

比較的気軽に来れる3000m級として、とても人気な木曽駒ヶ岳ですが、気軽に来られるので、観光客も含めて当然人も多いです。外国人の方もたくさん登りに来られていました。ただし一気に標高が上がるので、登山をする場合は千畳敷でしっかり高度順応するようにして、高山病には特に注意したいですね。日帰りも可能ですが、できれば宝剣山荘などで宿泊するゆったりとした計画で登山しましょう。

千畳敷からもひときわ目立つ岩峰であり、宝剣山荘間近に見える宝剣岳は、岩場や鎖場にしっかり慣れた中級以上の方には魅力的な存在です。ただしアルプスが初めてというような方には無理して登らない方がよろしいかと思います。

立山(北アルプス)

ミドリガ池からの立山
一ノ越から北アルプス南部の峰々

立山というと、実はどの山をさすのかという問題があります。ここでは、雄山(3003m)・大汝山(3015m)・富士ノ折立(2999m)の三峰をまとめて立山としたいと思いますが、立山三山といって浄土山と別山を含めたり、立山=雄山としたりといろいろです。

深田久弥の日本百名山にもちろん選定されていますが、立山黒部アルペンルートを使って標高2450m室堂まで上がってくると眼前に広がる室堂の花畑と雪渓を携えた大きな山塊、その山岳風景には感動を覚えます。

今回紹介する三座の中では最も険しいと言えると思いますが、2450mの室堂まで交通機関で一気に標高を上げることが出来るため比較的登りやすい北アルプスの名峰と言えるでしょう。

登山をするとなると立山黒部アルペンルートの運行時刻を考えると、一般的には山中で少なくとも一泊する必要があります。今回のツアーでは、初日に富山県側からアルペンルートで夕方に室堂に到着し雷鳥荘で宿泊し、翌朝から立山登山、もう一泊して翌日長野県側に下山しました。

一般的なルートは、室堂から立山雄山と浄土山の間の鞍部である一ノ越まで石畳の整備された道を進みます。一ノ越まで上がると天気が良ければ槍・穂高連峰をはじめ北アルプス南部の峰々まで見渡せます。ここでトイレ休憩をしてから雄山までの登りが序盤のハイライト。北アルプスらしいガレ場の急登で、一定の技術と体力が求められます。苦しい急登を登り切った先にある雄山は、神社もあってたくさんの登山者で賑わう場所となっています。

雄山を後にして、大汝山、富士ノ折立までは、北アルプスらしい稜線歩きが楽しめる、ガレ場の緩やかなアップダウンです。富士ノ折立のピークへは険しい岩場登りとなるので初心者はパスしても良いかと思います。稜線からは晴れていれば剱岳の荘厳な勇姿が臨めます。

下りもガレ場やザレ場が多く、転倒・滑落などに注意して、慎重に歩を進める必要があります。

ツアーでは真砂岳手前の分岐から大走りを下って雷鳥荘まで戻りました。体力次第では別山経由で雷鳥沢へ戻ってもよいし、上級者ならそのまま剱岳方面へ縦走しても良いでしょう。真砂岳の辺りに内蔵助山荘もあるので、途中で宿泊することも出来ます。

今回2泊お世話になった雷鳥荘をはじめ、室堂周辺の山小屋は温泉や風呂に入れるとても快適な小屋が多いです。山小屋と言うよりは温泉旅館に近いくらいの設備の小屋もあります。

アルプスデビューしませんか?

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